10万キロを超えた車にも値段は付きます。買い手が国内だけではないからです。2025年に日本から輸出された中古車は170万8604台。3年連続で過去最高を更新しました。輸出先では10万キロは「まだ半分」という感覚です。国内でも部品需要、実働車としての需要が残ります。10万キロは価値がゼロになる線ではありません。分かれ目は距離ではなく整備の中身です。太田市で過走行車の売却を迷う方へ、値が付く仕組みと判断基準を整理します。
【この記事のポイント】
「10万キロ超え=二束三文」は、ひと昔前の中古車市場の感覚です。今は値段の付き方そのものが変わりました。何が見られているのかを知れば、査定額の理由が読めます。
今日のおさらい:要点3つ
- 10万キロは査定の「区切り」ではあるが、そこで価値が消えるわけではない。海外輸出と部品需要という受け皿が動く。
- 同じ10万キロでも、整備記録が残る車とそうでない車では評価が変わる。読まれるのは「どう扱われたか」。
- 年式と距離のバランスが基準線。年1万キロ前後が平均的な使い方で、そこから外れているかが見られる。
この記事の結論
- 一言で言うと、10万キロは「値段が付かなくなる線」ではなく「値段の付き方が変わる線」です。
- 最も重要なのは、走行距離という1つの数字だけで自分の車を諦めないこと。
- 失敗しないためには、査定に出す前に整備記録簿と交換履歴を探しておくこと。
10万キロ超の車に値が付く仕組み:買い手は国内だけではない
海外輸出:170万台が動く市場では10万キロは通過点
日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の集計によると、2025年に日本から輸出された中古車は170万8604台。前年比9.1%増で、3年連続の過去最高でした。国別首位はUAEで、アフリカや中東へ向かう車のハブ拠点です。
日本国内で「もう十分走った」と判断された車が、毎年170万台規模で別の市場に渡っている。それがこの数字の意味です。
輸出先の感覚は日本と違います。日本では10万キロを節目に乗り換えを考える方が多い。一方で、道路事情や新車価格の違いから「動く限り乗る」が前提の国が多くあります。日本車の耐久性が評価され、10万キロは寿命ではなく通過点として扱われる。
正直なところ、この構造を知らずに「もう価値はない」と思い込む方は少なくありません。相場は車種・年式・状態・為替で動くので断定はできませんが、輸出需要が強い車種なら、国内の感覚より値が付くこともあります。
部品需要:走る力が残っていなくても「使える部分」は残る
もう一つの受け皿が部品です。
自動車リサイクル促進センターの資料では、2024年度の使用済自動車の引取台数は256万台。一方で解体後の車体(廃車ガラ)の輸出は同年度に21万8000台、前年度から20%増えています。背景には中古部品市場の成熟があります。
つまり、エンジンやミッションが本調子でなくても、ドア、ヘッドライト、内装、足回りには別の値が付きます。同じ車種に乗り続けたい方が純正部品を探すときの供給源が、これです。
ケースによりますが、生産終了から年数が経った車種ほど、この部品需要が効いてきます。「古いから安い」とは限らない理由がここにあります。
【比較】10万キロ超の車に用意されている3つの出口
同じ1台でも、出口によって評価軸が変わります。
| 出口 | 主に見られる点 | 距離の影響 |
| --- | --- | --- |
| 国内で再販(実働車) | 車検残・整備記録・内外装・修復歴 | 大きい。10万キロ超は価格帯が下がりやすい |
| 海外へ輸出 | 車種の人気・エンジン形式・現地の需要 | 相対的に小さい。動くことが前提 |
| 部品・素材として | 部品単位の状態・車種の流通量 | ほとんど影響しない |
買取店は査定時に「この車はどの出口に向かうか」を当てはめています。実は、同じ車を同じ日に別の店へ持ち込んで金額が違うのは、店ごとに強い出口が違うからという理由が大きい。国内小売に強い店と輸出ルートを持つ店では、10万キロ超の車の見え方が変わります。
「10万キロの壁」は本当か:査定で実際に見られている場所
距離より整備記録:見られているのは扱われ方
一般に、5万キロ超は多走行車、10万キロ超は過走行車と呼ばれます。この呼び方があるせいで、10万キロが壁のように感じられます。
ただ、査定の現場で先に確認されるのは距離計より整備記録簿です。
先日、太田市内のお客様から相談を受けました。13年落ちのミニバン、走行14万キロ。「さすがに引き取り料を取られるのでは」と半ば諦めた口調です。ところが助手席のグローブボックスから、ディーラーの点検記録が束で出てきた。タイミングベルトもウォーターポンプも10万キロ手前で交換済みでした。
「これ、意味あるんですか」と聞かれたので、こう答えました。「距離は同じでも、次に乗る人が何をしなくて済むかが変わります」。金額の約束はできませんが、記録の有無で見え方は変わります。
タイミングベルトは10万キロ前後での交換が推奨される部品で、費用は数万円から10万円近くまで幅があります。未交換の車を引き取る側は、この費用を織り込む。交換済みなら、その分の不安が消えます。
年式と距離のバランス:年1万キロが基準線
もう一つの見方が、年式との釣り合いです。
国土交通省の調査では、自家用乗用車の年間平均走行距離はおよそ1万キロ台前半。ここから「年1万キロが標準」という目安が広く使われるようになりました。
そして車の使われ方が長期化しています。自動車検査登録情報協会の調べでは、令和7年3月末時点の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.35年。10年前より約1年延びました。13年乗って年1万キロなら13万キロ。10万キロ超えは、いまや平均的な使われ方の延長線上にあります。
よくあるのが、「距離が少ないほど無条件に良い」という思い込みです。10年で3万キロの車は一見好条件に見える。ただ、長期間動かしていない車はゴム部品やブレーキ、バッテリーに別の劣化が出ます。
距離が少ない=良好、とは限らない。この一点だけでも、10万キロという数字の重みは軽くなるはずです。
よくある失敗:値が付かないと決めつけて、手続きを止めてしまう
一番もったいないのが、査定を受ける前に自己判断で終わらせてしまうパターンです。
以前、伊勢崎市から来られた方がいました。軽自動車、走行11万キロ、車検切れ。「廃車にお金がかかると聞いたので、その費用を相談しに来た」というのが最初のご用件です。前提が完全に「マイナスからの相談」でした。
実際に見てみると、外装のキズは年式相応、エンジンも動く状態。査定額を聞いたあと、その方はしばらく黙ってから「じゃあ、あの見積もりは何だったんですかね」とだけ言いました。表情が少し緩んだのを覚えています。
決めつけが起きる理由は分かります。比較サイトを何度も見て疲れて、もう調べたくなくなる。ただ、判断材料が一般論しかない状態で結論を出すと、自分の車の状態が計算に入りません。
迷ったときの判断基準:売るか、乗り続けるか
修理費と残価を並べて考える
10万キロ前後で相談が増えるのは、まとまった整備費用が見えるタイミングだからです。タイミングベルト、ウォーターポンプ、足回り、車検。重なれば見積もりが十万円を超えることもあります。
判断の順番はシンプルです。まず「これから2〜3年乗るのに必要な整備費」を出す。次に「今の状態での買取相場の目安」を知る。この2つを並べて初めて、どちらが得かが見えます。
正直なところ、片方だけで決める方が多い。修理見積もりを見て「高いから乗り換え」。査定額を見て「安いから乗り続ける」。両方を机に並べる、それだけで判断の質が変わります。
車検の前か後かで考え方が変わる
もう一つの分岐点が車検です。
車検を通してから売っても、その費用が査定額にそのまま上乗せされるわけではありません。ケースによりますが、かけた費用ほど戻らないことが多い。一方で車検切れの車は公道を走れず、引き取りの手配が要ります。
どちらが良いかは残りの車検期間と車の状態で変わります。車検の見積もりが出た段階で一度査定額を確認しておくと、選択肢が両方残ります。
太田市で相談する前にそろえておくもの
相談で持ってきていただけると話が早いものが3つ。車検証、整備記録簿(整備工場の伝票でも可)、そして大きな交換をした部品の記録です。タイミングベルト、バッテリー、タイヤ、ブレーキなど。
「捨ててしまったかも」という方も多いのですが、グローブボックスやトランクの底に入っていることがあります。探す価値はあります。
当店は事故車・過走行車・低年式車・不動車・車検切れの車も相談を受け付けています。出張査定やLINEでの写真相談もできますし、強引に話を進めることはしません。まずは今の状態でいくらかを知る。判断はそのあとで構いません。
よくある質問(FAQ)
Q1. 10万キロを超えると本当に値段は下がるのですか
A1. 国内で再販する場合、10万キロが価格帯の区切りとして働きやすいのは事実です。ただし輸出や部品需要では影響が小さくなります。下がり方は車種と状態で変わります。
Q2. 9万キロなら10万キロになる前に売ったほうが得ですか
A2. 一般論としては節目の手前が有利になりやすいです。ただ数千キロの差より、整備状況や車種需要のほうが金額を動かします。急いで走行を控える必要はありません。
Q3. 15万キロ、20万キロでも買い取ってもらえますか
A3. 相談は可能です。距離が伸びるほど国内再販より輸出・部品としての評価に寄りますが、値が付かないと決まったわけではありません。査定で確認するのが確実です。
Q4. タイミングベルト未交換だと不利になりますか
A4. 交換費用が織り込まれるため、その分は影響します。ただし今から交換して売っても、費用が同額戻る保証はありません。未交換のまま相談するほうが合理的な場合が多いです。
Q5. 整備記録簿がないと大幅に安くなりますか
A5. 評価できない項目が出るため不利に働くことはあります。ただし決定的な減点ではありません。交換時期を覚えている範囲で口頭で伝えるだけでも材料になります。
Q6. 走行距離が少ないのに評価が低いと言われました。なぜですか
A6. 長期間動かしていない車は、ゴム部品やバッテリー、ブレーキに劣化が出ます。距離が短いことと状態が良いことは別です。年式と使用状況の両方が見られています。
Q7. 過走行車は一括査定と店舗、どちらで相談すべきですか
A7. 一括査定は連絡が集中しやすく、過走行車は対応可否も分かれます。実車を見ないと判断しにくい車ほど、見てもらえる店に絞るほうが手間が減ります。
Q8. 車検切れで動かせない過走行車でも査定できますか
A8. できます。出張査定で現車を確認する形です。引き取り方法は状態で変わるため、置き場所や動くかどうかを最初に伝えていただけると話が早くなります。
まとめ
- 2025年の中古車輸出は170万8604台で3年連続の過去最高。10万キロ超の車にも国内以外の受け皿がある。
- 使用済自動車の引取は2024年度で256万台、廃車ガラ輸出は前年度比20%増。部品需要も動く。
- 乗用車の平均使用年数は13.35年。年1万キロなら、10万キロ超えは平均的な使われ方の範囲。
- 見られているのは距離より整備記録と交換履歴。距離が少なくても評価が伸びない車もある。
- 値が付かないと決めつけて手続きを止めるのが、一番もったいない。
10万キロは、あなたの車の価値を決める数字ではありません。決めているのは、その車がどう扱われてきたかと、いまどの市場が欲しがっているか。実車を見て初めて分かります。迷っているなら、まず今の査定額を知ることから始めてください。
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